近年、地球環境の変化に加えて貿易の活性化や海外渡航者の増加により、世界との距離が 縮まったことで、様々な外来生物による問題も顕在化しきており、私たちの生活環境はこれ らの感染症や危険害虫によって常に脅威にさらされています。
公益財団法人大下財団では、これら身近に迫る脅威に対して、正し い知識と情報をお伝えすべくシンポジウム『デング熱媒介蚊~生物学から防除対策まで夏季 の国際的なスポ一ツ大会開催に備えて~』を開催させていただきました。
今回のシンポジウム開催の大きな目的としまして、2019年9月から日本で開催されるラ グビーワールドカップや2020年7月から東京で開催されるオリンピック、パラリンピック に向けての媒介蚊対策の問題点を明らかにすることにあります。さらには、夏季のアウトド アスポーツや旅行シーズンに向けての対策ともなるテーマとなっております。
日本は、2013年、2014年とデング熱の国内感染を経験し、媒介蚊の防除対策の重要性 がある程度理解されてきたと思っておりますが、今一度、デング熱媒介蚊の対策の重要性を 再認識し、新しい情報を共有させていただければと思っております。
当日は、国立感染症研究所名誉所員 昭和大学客員教授の小林睦生様が司会を務め、各分 野の専門家 6 名の方々に、テーマごとにご講演をいただきました。
■公開シンポジウム「デング熱媒介蚊」
~生物学から防除対策まで 夏季の国際的なスポ一ツ大会開催に備えて~
司 会 小林睦生 国立感染症研究所名誉所員 昭和大学客員教授
高崎 智彦 神奈川県衛生研究所所長
「蚊が媒介するフラビウイルス:デングウイルスを中心に」
比嘉 由紀子 国立感染症研究所 昆虫医科学部第1室室長
「ヒトスジシマカ・ネッタイシマカの生態学」
江下 優樹 北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 客員教授
「媒介蚊からのデングウイルスの分離と媒介能」
駒形 修 国立感染症研究所 昆虫医科学部第3室主任研究官
「デング熱媒介蚊の分布と生態に与える気象条件」
木村 秀嘉 東京都福祉保健局健康安全部 環境保健衛生課課長
「2014年代々木公園における防除対策と媒介蚊発生状況」
川田 均 長崎大学 熱帯医学研究所准教授
「デング熱媒介蚊の防除と殺虫剤抵抗性」
「総合討論」